いつごろが子育てで1番辛かったのかと聞くと、生後20日頃だと半数近くのママが答えます。私は1度に9人の子供のお世話をしてきた養護施設の保育士をしていました。なぜ9人もお世話ができるのか、よく聞かれます。もちろん1人ではないし、相談相手と交代要員もいましたし、休憩もありますから、お母さんたちとは全く立ち場が違います。ママと違うのは、交代要員がいる安心感と、余裕があったからです。それでも参考になるかも知れないと思って、幾つかの事例をテーマにお話ししたいと思います。
子育てって疲れるし イライラする気持ち分かります
生後20日は、誰でも大変な時期です。病院から退院したら、いきなりママの仕事が待っています。まだ産後の疲れも明けないうちに、授乳やオムツ替えや、沐浴や、もう全部嫌!、分からないことばかり。
いえいえ、そんなことはありません。育児にかかる時間は、手順よくこなせばそれほど大変なことではありません。赤ちゃんてなぜあんなに泣くのでしょうね。
泣いたからってすぐに抱き上げなくても大丈夫、運動しているだけかも知れません。オムツは濡れてない?お腹は空いてない?部屋の温度は大丈夫?鼻水は?体が熱くない?すべてOKなら、ママが近くにいると合図してみて、手を触ったり、足の運動をしたり。
ママの笑い声や、音楽を静かに流しておくのも効果があります。眠いだけでも泣くのが赤ちゃんです。ひとしきり泣くとピタリと泣き止みます。でも、泣いたら必ず近くにいないと。すぐに抱き上げるクセはつけちゃダメ。でも、ママにとってはそれどころではない。イライラするし、疲れちゃうし、眠いし。
これは、ママのせいばかりじゃないんです。ホルモンバランスの変化と、寝不足によるストレスです。
自分の状況を理解して、自分でコントロールできない感情の不思議なんかを考えてみてください。
冷静になると、赤ちゃんの泣き声が自分を必要としているからだってわかってきます。赤ちゃんを産むことが大仕事だったので、産まれてホッとしたのもつかの間。みなさん、この時期は悩んだり、落ち込んだりしています。大丈夫、子供は日々成長しています。
子育てを楽にするための叱り方
2歳児もなかなか大変なんです。このころになると、早い子は会話ができたり、感情表現も豊かになります。まだ言葉が出ない子もいます。幼稚園の新米先生を悩ませる2歳児たち。
ある日、教室から、大きな叫び声が聞こえました。行ってみると新米先生が子供たちの前で鬼の形相です。「右って言ってるでしょ、右足出すのこっちって言ってるでしょ!」先生の手が子供の足をペシッと叩きました。ベテラン先生が駆けつけて来て、すぐに状況をみてとりました。
「お遊戯の練習ね、なにやってるのかな」「ぺんぎんさん」と子供たちが答えます。今にも泣き出しそうに鼻をすすっている子もちらほら。先生が音楽を流すと、子供たちは跳ねたり回ったり、ぺんぎんを演じています。「すごい、ホンモノのぺんぎんさんみたい、よくできたわね」すると、嬉しそうに、思い思いに跳ねたり飛んだり。新米先生は叱りましたが、同じお遊戯をベテラン先生は楽しそうに褒めました。楽しいお遊戯の時間が子供たちの恐怖の時間になったら大変です。ベテラン先生が囁きました。「先生、落ちついて、まだ右なんてわからないし、あなたの思いどうりにはいかないのよ。子供たちのできてるところを褒めてあげないと」
ママ、落ち着いて。子供ができないからって叱らない。泣いたからって慌てない。静かになるのを待ってから教えてあげて下さいね。泣いているときには、小さな頭では他のことはわからないの。叱ってもわからない。「テーブルの上には上ったらダメって言ってるでしょ、聞こえないの、ほら下りなさいって!」ちょっと待って、聞こえていますよ。すぐに反応できないのです。楽しいからね、頭は楽しいことでいっぱい。下りるのを黙って待ちます。
叱ると泣くし、騒ぐし、ちょっと待って下さい。落ち着いたらママは笑いかけます。そして、何がいけないのか、教えてあげて下さい。何度でもね。繰り返しなんですよ。でも、こんな苦労も、楽しい時期もすぐに通り過ぎてしまいます。あのですね、大変なところ申し訳ないのですが、3歳はね、もっと大変。5歳はね、もっともっと大変。子育ては大変ですが、子供の成長は大きな喜びです。子供たちも頑張っているのですよ。子供の笑顔は宝もの。たくさんの笑顔を引き出してあげましょう。
まとめ
反抗期って3回もあります。2歳から3歳のイヤイヤ時期は泣きたくなります。ついでに、「それなに?」「これなんだ?」も否応なしにやってきます。心も体も順調に成長している証拠なのです。自我が芽生えて来て、一人でやりたがりますが出来ないのです。やりたいのに出来ない。自己主張が強くなりますが、成長過程なので心に余裕を持って正しく導いてあげて下さいね。やりたいだけやらせて、いじけて泣いたら背中をポンポンと軽く叩きます。
「自分で、自分で、自分でやるー」急いでいるときに限って、始まるんだからたまらない。ほんと、笑っちゃいますよね。付き合っていたら予定が総崩れになってしまいますが、仕方がない、とママはあきらめて、時計とにらめっこしながらじっと見守ることにしましたよ。