奈良東大寺のお水取りの行事は、1250年の歴史があります。
またお水取りは東大寺の他にも薬師寺や、長谷寺、法隆寺西塔でも行われていますが、
東大寺が一番規模が大きくて有名ですね。
お水取りは旧暦の2月12日の深夜から行われる行事で、正式には十一面悔過(じゅういちめんけか)法と言います。
練行衆といわれる精進潔斎した僧侶11人がみずから、十一面観世音菩薩の仏前で過去の過ちを懺悔し、厳しい行を行うのです。
また、補佐役として三役、仲間(ちゅうげん)、童子(大人)と呼ばれる人たちがこれを助けています。
この行が済むと、奈良には春が訪れるといわれています。
お水取りをする意味を知ろう
お水取りの行事は昔からの作法が綿々と受け継がれている貴重で珍しい行事です。
受け継がれてきたタブーも沢山あり、選ばれた僧侶は随分前から準備に入ります。
修二会(しゅにえ)とはそのときに行われる行法のことです。
・蒜三十七日
蒜(ニンニクやネギなどユリ科の植物科)を食べてしまうと、37日間は二月堂に上がることができない。
・兎十四日、狸二十一日、猪三十五日、鹿百日
二月堂物忌令(にがつどうものいみれい)という江戸時代の本にはこう書かれています。
では、当時の人たちは肉も食べていたのですね。
今では、お水取りの期間にはお肉は食べないそうです。
また獣肉によって期間が定められている理由は、今はもう不明だということです。
僧侶と練行衆は期間中、厳しい食事の作法が定められています。
食事は一人五合、一汁一菜、12時に食事をした後は夜中の行が終わるまでは何も口にしない。経を唱え、動き回ったりして喉も乾きますが、水も禁止なのです。
深夜に下堂して、ゴボという夜食の粥をすすります。何故ゴボというのかも不明です。
・喪中の者は定められた期間参加出来ないことになっています。
練行衆は東大寺を開山した良弁(ろうべん)が亡くなった日の12月16日に発表され、代役はきかない。身内に不幸があれば役を降ります。
3月15日3時に行が明けます。
修二会は二月堂の井戸から「お香水」を汲み、本堂に運ぶ儀式から、お水取りの名があります。
その行法は12日の深夜(13日早朝)に行われ、しかも「閼伽井屋(あかいや)」というお堂で行われているため、外部には伝わってきません。そのあたりが神秘的ですよね。
しかもそれは、真っ暗闇の中で行われるということで、手探りの行だそうですよ。
その水を飲むと万病に効くと伝えられています。
お水取りの仏教儀式の目的は仏の前で過去を懺悔すること、また仏法の興隆、天下泰平、万民豊楽、五穀豊穣を祈願します。
満行の朝には、「達陀(だったん)帽いただかせ」が行われます。子供の頭に達陀帽を被せることで、1年間の無病息災が叶います。
お水取りの儀式の見どころは?
修二会、通称をお水取りといってこちらの方が有名ですね。
奈良では、このお水取りが終わると春の到来だと言われています。
そして、関西では「お松明」がお水取りの意味で知られているということです。
東大寺二月堂で行われるこの儀式は、とても混雑します。
中でもお松明は、暗い回廊を松明の火が駆け巡ります。
一目見ようと、人垣が出来ますので、儀式の全てを見ることは難しいですよ。
儀式は二月堂の下の井戸から汲んだ水を十一面観世音にお供えすることから始まります。
雅楽が流れる中で、桶を担いだ練行衆が松明に導かれて往復して水を運びます。
大変な混雑です。2019年は3月1日から14日までです。
お松明は12日までは毎晩14日まで行われます。
お水取りは3月13日の午前1時から始まります。
一般的には12日に行われる籠松明のことだと思われていますが、実際には13日、若狭井と呼ばれる井戸から香水を汲み上げる儀式がお水取りです。
お松明は7メートルの高さで重さ40キロもあります。十本の赤々と燃える松明が駆け巡る様は圧感です。
また籠松明は12日だけ登場します。重さが70㎏から80㎏高さ8mもある籠松明11本が欄干から振り回されて、火の粉が辺りを赤く染めます。
火の行とも言われています。
まとめ
はじめて見学される方へ
見学できるスポットは二箇所あります。
二月堂の前の広場は三千人ちかい人出で混雑しています。
第2拝観席が設けられていますが、こちらも立ち見です。
200mの距離から遠くを走る幻想的な炎を見物することができますから、あえて第2拝観席に向かう人も沢山います。
状況は、毎年2、3万人の人出がありますが、広場の収容人数から考えると、2万人以上の人は二月堂前の広場に入ることも出来ません。
見学は早い時間から出かけないと無理なんですよ。
鐘楼のあたりに誘導道が出来ています。18時頃には満員です。大鐘のところに並んでも入れません。
18時前には到着していないと並んでも入れないでしょう。
とくに籠松明はさらに混雑しますから、警察の誘導で、第2拝観席に移動する指示があることも予想出来ます。
国にとっても重要な行事となっていますが、地元の人々にとって、大切な行事です。
最近では観光客が押し寄せて、なかなか近くで見ることも叶わなくなりました。
でも、是非一度は見たいですね。
また易学の九星占いでお水取りがあるようですが、修二会とは全く関係ないですよ。
こちらはいにしえから続く大切な伝統行事です。