普段から浴衣を着ている人はほとんどいないですよね。母親は普段から洋服と和服を上手に着こなしていましたが、私は着なれないせいか、夕方にはいつも着崩れしていました。
母親にだらしないと叱られて、トイレで着付けを直してもらったりしました。
だから旅行に出かけるときにも部屋着を持参します。荷物が多くなり、身軽な母を羨ましく思いました。
旅先で用意されている浴衣
ちゃんと着られますか?
旅館に到着すると、母親はすぐにくつろいで、お茶菓子を食べながら、中居さんと親しく話をします。
お茶菓子をおいしいと褒めて、必ず買って帰るのでお世辞ではないと思います。
さっさと浴衣に着替え、丹前を着て、お風呂にいそいそと出かけて行きます。
戻ると夕食の支度がしてある抜群のタイミングで戻って来るのです。そのあいだ私は部屋をうろうろして落ち着きません。
料理が運ばれて来るので、邪魔にならないように窓ぎわの椅子で風景を眺める振りをします。
そうしているうち、お風呂に入るタイミングを失い、夕食になります。
「お風呂も浴びないで夕食なの? あら嫌だ!」チラ見されます。
母とゆっくり食事をして、食事が終わると、母親は私をお風呂に誘います。
まだいいからと断ったときに、宿の都合があるんだと教えられました。
入浴中に布団を敷くと決まっているんだから、部屋を空けておくのだそうです。
ちなみに部屋食の場合は宿のお庭を散歩するのだそうですよ。最近は朝食は別会場なので、食事が終わると布団は片づいています。
和風旅館の過ごし方を母親から学び、しばらくはホテルにばかり泊まっていましたが、また最近、旅館を利用するようになりました。
前回泊まった老舗旅館は、フロント横に浴衣と帯があり、好きな浴衣と帯が選べます。
好きなデザインの浴衣を選んだら、それに合う帯は宿の人に任せちゃってもいいですよ。
みんなおしゃれな浴衣を着ていますが、着方がもの凄いことになっています。
着崩れるどころではありません。おかしくて目のやり場に困りました。
帯と浴衣がバラバラで、グレーの桜の浴衣に、黒地に牡丹柄の帯には後ずさりしました。
母に一目見せてあげたい、お土産話しにして、ひとしきり笑いました。
え? 笑いどころがわからない? 問題ないです。母から言わせると、ほとんどがダメ出しなんです。けれども、もう、昔とは違いますから(笑)。
けれども、知らないよりは知っていた方がくつろげますよ。
帯は後ろで縛って垂らしたらダメです。浴衣が左前です。なぜ中にTシャツを着るの?
歩くと腿がチラチラ見えます。
素敵な浴衣が台無しになってしまいます。
浴衣の着方は、ネットで調べたり、動画を見たりして最低限のルールを覚えましょう。
無理ならお部屋担当の中居さんにお願いして着せてもらいましょう。それとなく、チップを千円ほど渡しましょうね。
チップは辞退している宿もありますから、案内に目を通しておくことを忘れないでください。
一度着せてもらえばすぐに着られるようになります。旅館での浴衣の着方は寝巻きの着方ですから、簡単なんです。
浴衣はきちんと着ないとすごくだらしなく見えてしまいます。
ついでに浴衣のたたみ方も覚えておきましょう。
男性の分は乱れ箱に入れればいいのですが、女性は簡単でもたたんでおきましょう。
旅行は色々なことを吸収するよい機会です。料理を出す順番や、並べ方のルール、器の種類、料理の名前や味。
質問すると、喜んで丁寧に教えてくれますよ。
知ったか振りは必要ありませんし、知らなくても恥ずかしいことなんかありませんから。
知らないままよりも年齢とともに達人になればいいのです。
私は今、あの頃の母の年齢くらいかなぁ、まだ浴衣より部屋着です。でも、最近流行りの浴衣のサービスは嬉しいですね。
旅行に行きましょう。旅行はくつろぐために行きますが、旅は勉強でもあるのです。のんびり美味しいものを食べて、たくさん観て歩いて、感動してください。
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さいごに
先日、友人数人と近場で一泊しましたが、やはり浴衣をきちんと着られている人はいませんでした。
ちょっと驚きました。すでに私たちの世代では盆踊りも下火になっていましたし、浴衣を着て出かけるなんて、花火大会くらいなんですね。
特別感があって、気恥ずかしい感じもします。見られている感じもしますから、あの頃の母のように、生け花の展覧会を観にいくからと和服に着替えてささっと出かけるなんて、そんな身軽なことはできません。
ある夏に、思い立って自宅に着付けの先生に来ていただき、15回コースで教えていただいたことがありました。
今あれから10年、先生と仲良くなり、着物や浴衣でたまにお出かけします。
夕方には着崩れてトイレで直してもらうことがありますが、どうも、歩き方に問題があるようなんですよ。
じゃあこれから、問題点を見ていただいて、歩き方も勉強しなければならないですね。